省エネ法(※1)改正により住宅も説明義務化が始まりました。省エネ法では気候風土適応住宅の場合の外皮基準の適応除外を定めており、三重県内においてもその使用の検討が進められています。 ここでは、その参考事例として、国土交通省サスティナブル建築物等先導事業気候風土適応型(※平成30年第2回)に採択された志摩市内の事例を紹介します。
※1 省エネ法とは、1979年に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(以下省エネ法)のことです。 元々はオイルショックを契機として、工場、輸送機関等においてエネルギーを効率的に利用していく目的で制定されました。
<気候風土適応型住宅とは> ※国土交通省HP引用
地域の気候風土に応じた建築技術を活用し伝統的な住文化を継承しつつも、現行の省エネルギー基準では評価が難しい環境負荷低減対策等が図られた住宅
<評価基準>
① 地域の気候風土に応じた建築技術を活用していること
② 現行の省エネルギー基準では評価が難しい環境負荷低減に寄与する複数の対策を行うこと
③ 有識者による評価委員会により、長期優良住宅又は低炭素住宅と同程度に良質であると 評価を受けること
■「志摩の小庭いかだ丸太の家」の特徴について
三重県の伊勢志摩国立公園という志摩特有の原生林が広がる森の中にこの住宅は計画されました。豊かな海の恵みを題材に、漁で使う簡素な作業小屋(浜小屋)や海女小屋をオマージュし、志摩の日常的な風景に溶け込むような小規模の平屋建てとしています。
そして構造材では、地域の特徴の一つでもある真珠や牡蠣の養殖いかだで使用されている“若齢で小径木の丸 太材”(=いかだ丸太)を使い、小さな小屋という軽やかさをイメージするため、この丸太材を使ったトラス構造(シザーズトラス)を採用しました。
またこの丸太材や一等材広葉樹を含め、ほとんどの材は三重県産材を使用しています。その他、土壁の泥コンや、 三和土土間の土、砂利・採石、断熱材として使用したもみ殻など、多くの素材も近隣で調達できる地元産材としています。
地産地消という持続可能な地域社会に貢献した家づくりを目指し、地域住民対象のワークショップ開催、竹小舞の竹や台所の流し台(施主 DIY)に使用した桧材には、敷地林の維持管理のため伐採したものを再利用するなど、サスティナブルの観点から、志摩の特徴を捉えた家づくりを積極的に行いました。
※採択時の評価
■ 建物の性能値と一次エネルギー消費量計算について
■ 地域の気候風土への適合状況
■ 上記の各要素に対応する図面上での説明
■ プレゼントシート
※注)資料の無断転用は固く禁じます。